コンサルタントのリョケンはこのほど、全国の旅館・ホテルに四半期ごとに行っている短期観測アンケートの今年9月調査分の結果を公表した。それによると、今秋(9〜11月)の客数見込みは、減少傾向と回答した施設が回答者全体の45.6%、増加傾向と回答した施設が同7.9%と、非常に厳しい結果になった。前年のシルバーウィーク(SW)による増加の反動や、団体旅行の動きの鈍さなどが指摘されている。
自館がある地域全体の客数でも、減少傾向が58.1%、増加傾向が6.5%と、非常に厳しい状況。
自館の客数傾向を地区別にみると、近畿・中国で18.5%、東海で11.5%が増加傾向と回答。全国平均の7.9%を上回っている。ただ、ほかの地域はほとんどが減少または横ばい傾向と回答している。
基本宿泊単価は、横ばい傾向が50.9%と、半数を占めた。次いで、下降傾向が42.1%。上昇傾向は7.0%にとどまる。
総宿泊単価も下降傾向50.0%、横ばい傾向43.0%と両者でほとんどを占め、上昇傾向は7.0%にとどまっている。
回答者からのコメントでは、「前年はSWやイベントが多かったが、今年はその反動で客数が減少する可能性がある」「団体の動きは鈍く、企画提案しても値引き交渉や他館との競合で厳しい状況である」などがあった。
このほか、「紅葉の楽しめる地域では、紅葉に合わせて人が動くため現時点での予測が難しく、直前販売のやり方が重要であると考えている」「ネット予約が引き続き増加しており、1カ月をきってからの間際商品や価格のつけ方の対策をより重視して、最後の追い込みをかけていきたい」などの意見があった。
調査は9月5〜21日、全国の旅館・ホテル714軒にファクスとEメールで行った。回答数は114軒で、回答率16.0%。
夏休みの営業実績 猛暑で売り上げ増に
今年の夏休み(7月下旬〜8月末)の実績を聞いたところ、自館の客数傾向は増加傾向が36.6%と、最も多く回答した。以下、減少傾向33.9%、横ばい傾向29.5%。回答者のコメントから、猛暑が海水浴場や避暑地に人を動かし、単価が下落傾向も、客数増加で売り上げを維持したなどの状況がうかがわれる。
地区別では、関東、東海、四国・九州で増加傾向が減少傾向を上回った。半面、北陸では減少傾向が83.3%と、ほとんどが回答した。
総宿泊単価は、下降傾向が51.3%と最も多く、上昇傾向は14.2%にとどまった。